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作品|WORK


新長田駅南地区地下道のデザイン提案

Design Proposal for the Underground Passages in Southern District of Shin-Nagata Station


川北 健雄

KAWAKITA, Takeo Associate Professor, Department of Environmental Design, School of Design


花田 佳明

HANADA, Yoshiaki Professor, Department of Environmental Design, School of Design


内山 忠

UCHIYAMA, Tadashi  Research Associate, Department of Environmental Design, School of Design




はじめに

 神戸市長田区の新長田駅周辺は、1995年1月の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた地域のひとつである。新長田駅南地区は、そのなかでも特に倒壊と焼失による被害が甚大であったところで、被害者対策と市街地復興の早期実現をめざして、震災のわずか2ヶ月後には、神戸市を事業主体とした第二種市街地再開発事業*1の対象地区として都市計画決定が行われた。
  この地区は神戸市基本計画における西部副都心としても位置づけられており、新長田駅はJR神戸線の他、地下鉄西神・山手線が交わり、さらに2001年に開通した地下鉄海岸線の起点駅ともなっている。新長田駅南側の広場と広場に面する主な建物は、震災前の1991年に都市計画決定された第一種市街地開発事業として実施されたもので2000年に完了している。
 新長田駅南地区の市街地再開発事業として計画された再開発ビルのうち、2006年3月末の時点で既に21棟が完成している。国道2号線の南の大正筋両側の6つの街区は「アスタくにづか」と名付けられ、主として低層部に店舗と事務所、高層部に住宅という構成の、街区ごとに1番館から6番館と呼ばれるビル群が建設されている。これらの街区の南東には地下鉄海岸線の駒ケ林駅が位置し、「アスタくにづか」の地下から2階にかけて展開する商業モールは、新長田駅と駒ケ林駅とをつなぐ、にぎわいにあふれた歩行者空間となることが想定されていた。しかしながら、現在、この立体モールを訪れてみると、その構想は必ずしも成功していないことがわかる。とりわけ5番館地下の二葉小路の状況は深刻で、飲食店街であるにもかかわらず人影さえまばらである。
 ここで紹介するいくつかのプロジェクトとそれらのデザインは、「アスタくにづか」におけるこのような状況を少しでも改善すべく提案したものである*2,*3。より具体的には、新長田駅方面から「アスタくにづか」への地下レベルでの主なアプローチとなる国道2号線をくぐる大橋地下道と、そこから「アスタくにづか」1番館、3番館、5番館を通って地下鉄駒ケ林駅にまで至る地下通路に何らかの仕掛けを組み込み、地下空間に対して人々の意識を向け、地域の人々が地下通路内の様々な場所と関わるきっかけをつくること目的としたデザイン提案を行っている。



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