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まとめと今後の展望

 本報告における調査・分析によって、以下のことが明らかになった。 1)探索路がない管理放棄された小面積の二次林環境下でも、密生する低木を除去するより能動的な林床管理後には、夏・冬ともに、日常的な室内での心理状態と比較して、複数のストレス要因が有意に低く、逆に「活気」を示す得点が有意に高い状態に改善される。 2)同じ管理放棄林でも、高木層に落葉樹が優占する場合は、冬に樹冠が開放されることで、林床管理だけでなく森林探索による林内活動後でもリラクゼーションを与える空間になりやすい。
 特に管理放棄林において、森林浴を直接的な目的としない林内探索や林床管理等の林内活動後にもリラクゼーション効果と、環境学習効果が複合的に期待できるという本研究成果は、都市域の中で断片化され、放棄された小面積の緑地空間もレクリエーションや環境学習のフィールドとして、複合的な活用が可能であることを示唆していると考えられる。


注・引用文献

*1―
綛谷珠美 (2005) 【千葉県の里山を活用した森林セラピー】 日本造園学会分科会講演集、2005、p67-p68
*2―
中川重年【再生の雑木林から】創森社、1996、p78-82
*3―
上原三知・古賀俊策・杉本正美・齊木崇人【林内活動後の放棄された二次林環境におけるリラックス効果と環境学習効果の複合評価】日本造園学会誌ランドスケープ研究 研究発表論文集25 Vol.70 No.5、2007、p457-p462
*4―
(財)神戸都市問題研究所【神戸研究学園都市建設誌】、神戸市開発局、1994、p23-p25、p65-p67、p99-p101
*5―
(財)日本生態系協会【ビオトープネットワーク】、ぎょうせい、1994、p45-p46

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