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2.西脇中心市街地のまちづくりの経緯

 平成13年度より西脇市が取り組んでいる西脇市中心市街地活性化基本計画において中心市街地(図1)は、東西に延びる都市計画道路西脇上戸田線(中央通り)と南北に延びる和布郷瀬線を中心として、JR加古川線の新西脇市駅を含む区域で189haと設定されている。今回、対象としている中心市街地(図2)は、上記の2本の計画道路の交わる地域で、西脇市役所や地方合同庁舎が近隣し、総合市民センターのある童子山公園の南に位置する。この地域は、かっては商店街が栄え、映画館や飲食店、遊技場が建ち並び、職住一体となった市街地であった。しかし、現在は播州織工場、豪邸、料亭、旅館が点在しているものの、空き家が目立っている。この地域の中心にある豪邸のひとつ「旧来住家住宅」は、地元で財を成した来住梅吉の個人の住宅であったもので、大正7年に竣工し、播州織最盛期の象徴的な建築物である。平成13年に西脇市に寄付され、その後、改修が行われ、平成14年に母屋・離れ・客湯殿は国の登録文化財として登録され、平成15年5月より一般公開されている。平成18年には、本学との産学連携による初めての播州織ファッションショーや西脇梅吉寄席が開催されるなど、市民のコミュニティの場所として活用されている。西脇TMO(Town Management Organization)()は、西脇商工会議所が平成15年2月に西脇市商業タウンマネージメント構想の認定を受けたことにより、商工会議所が母体となって設置された。中心市街地の活性化に取り組んでいるほか、「旧来住家住宅」を活用したまちづくりを進めている。また、同住宅と同じ敷地内には、同じく西脇TMOが運営している「西脇情報未来館21」やレストラン「梅吉亭」がある。「西脇情報未来館21」は地場産業振興のため、「先染工房」のブランドで播州織を用いたオーダーシャツの販売の他、播州織による各種縫製品、播州毛鉤の技術を応用したフェザーアクセサリー等の販売を行っている。

図1 西脇市中心市街地活性化計画位置および区域

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図1 西脇市中心市街地活性化計画位置および区域

図2 中心市街地対象地域

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図2 中心市街地対象地域


 今回のプロジェクトは、西脇TMOの事業の一環として兵庫県の「先導的活性化事業」「中心市街地播州織ファッション特区事業」として西脇商工会議所、播州織産元組合と本学との産官学連携において平成18年度より始まる3カ年計画で行われるものである。本事業は、高齢化の進む西脇市の中心市街地の空き家や空き工場を利用して、産官学連携による工房館やショップを作り、中心市街地に若者を呼び込み、まちづくりを目指すものである。「旧来住家住宅」を核にして複数の店舗や工房館などを点在させ、それぞれをリンクさせ、点から線へ、線からゾーンへと「まちづくり」を推進し、商店街の活性化を図る。同時に、来場者や事業に参加する若者と地元住民とのコミュニティの形成も期待するものである。また、産官学連携によるものづくりは、産地の高い技術力と本学の学生の若い感性のデザイン力を融合させることで、今後のファッション性の高いものづくりとその発信に活かすことができるなど、地場産業の振興にもつなげることができると期待されている。

「播州織ファッション特区」事業3カ年計画は下記の通りである。

平成18年度 :
「播州織工房館」の開設事業
「産学連携ショップ(仮称)」の開設事業
平成19年度 :
「播州織ギャラリー(仮称)」の開設事業
平成20年度 :
播州織サロン「手芸の里(仮称)」の開設事業
デザイナーズブランドショップ「玉木新雌」「藤原ヒロユキ」開設事業

 当初の計画では、18年度には「播州織工房館」と「産学連携ショップ」の開設の2事業を行う計画であったが、「播州織工房館」開設に多くの時間と費用を要したため、「産学連携ショップ」の開設事業は19年度に延期して行うことになった。そこで、18年度においては、「ショップ」のシミュレーションとして、期間限定ショップ「ネイブル」をオープンし、ショップのコンセプト提案とシャツブランド「ネイブル」の商品企画提案を行った。


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