3-1 はじめに
2007年10月6日(土)より11月25日(日)にわたり「神戸ビエンナーレ」が開催された。
その目的は、神戸に芸術文化の力を結集して内外に発信する機会を設け、神戸の芸術文化の更なる振興を図るとともに、まちのにぎわい、活性化につなげる試みである。神戸ビエンナーレ2007のテーマは「出合い」。港町としての発展を象徴するコンテナを用いて、芸術文化が集い出合う場が作られた。現代アートから伝統芸術、伝統文化、デザイン、ファッションなど、多様性の共存と融合の中に創造性の探求を目指した。
このイベントの中で、神戸芸工大eapは、おしゃれなまち神戸にふさわしい「帽子」に注目し、「なりきり帽をつくろう!」をテーマに、ワークショップとファッションショーを企画実施した。(図2)
「なりきる」とは、「私は○○になりたい!」という願望を、帽子を通じて自己表現することである。今回の目的は、それぞれの個性をできるだけ簡単に楽しく、「なりきる」というテーマを元に表現することにある。ワークショップでは、布、芯地、ニット、和紙などさまざまな材料を使って、なりきりたいイメージの帽子を簡単に楽しく制作する企画を提案した。
ファッションショーでは、学生たちが個性豊かな「なりきり帽」を制作し、自らがモデルとなり披露した。作る人、かぶる人、見る人が帽子というファッションアイテムを通じて、楽しく触れ合ったイベントとなった。
3-2 ワークショップについて
3-2-1 コンセプト
ワークショップのコンセプトは、「ものをつくる楽しさ(誰もがデザイナー、アーティスト)」、「人とのふれあい(ひとりでは出来ない事もみんなでなら出来る」、「神戸らしいテーマ」、「資源の再利用(身のまわりの廃材も使用)」などである。
具体的には芯地を土台に、布をはったり、ボタンをつけたりと自由な素材、発想で、参加者思い思いのなりたいイメージの帽子を作るものである(写真6)。
3-2-2 役割分担
全体プロデュース:見寺貞子
ショー全体サポート・広報:瀬能徹
ファッションショー全体進行・運営指揮:尚山晃仁
ワークショップ全体サポート:安田雅子
ワークショップ運営指揮:石垣陽子
ワークショップ全体進行:吉村安代、有村真由子
ショー学生参加者は50名
大学生スタッフ:ワークショップスタッフ30名、ショースタッフ10名、撮影スタッフ・カメラ担当5名
3-2-3 プログラム内容
- 7/24(火)
- ワークショップ検討会:スタッフ全員で帽子を作り、内容の検討と見直し
- 9/28(木)
- ワークショップ準備:材料、備品の手配
- 10/8(月祝)
- ワークショップ本番
神戸メリケンパーク 海洋博物館大ホール
10:30~12:30 「帽子をかぶろう!」第1部ワークショップ
14:30~15:00 「帽子をかぶろう!」第2部ファッションショー
(ワークショップの作品もショー参加)
3-2-4 役割分担
- 1.
- 学生スタッフが各参加者となりきりたいテーマを決める(写真7)。
- 2.
- テーマにあわせて土台(芯地)を選ぶ。
土台の4種類:芯地のみ・大/芯地・小+綿布/芯地・小+ニット/ニットのみ - 3.
- 土台布に模様を描きたい参加者は、布描きクレヨンやマジックなどで縫い合わせる前に描く(写真8)。
- 4.
- 参加者の頭の大きさにあわせて土台を縫い合わす (写真9)。
- 5.
- 土台につける材料・画材選び、付属品(ボタンなど)を付ける(写真10)。
- 6.
- 完成 !
- 7.
- 各自自作のなりきり帽子をかぶって写真撮影 (写真11)(写真12)(写真13)。
- 8.
- 全体で発表会(写真14)(写真15)
- 9.
- 第2部のファッションショーにも参加(写真16)。
<必要な道具> 裁ちばさみ、針、はさみ、ホッチキス、布用ボンド、めうち、穴あけパンチ
<材料> 接着芯つき布地、古布、綿布、付属品(ボタン・ひも・リボン、目玉ボタン)、アクリル毛糸、布用クレヨン、ペン、フェルト、カラー布、わた。
材料には廃材となったニットや綿生地、革素材など資源の再利用にも貢献する。
3-3 アンケート集計
当日参加の方も含めて約29名の参加者があった。参加者は幼児、小学生から60代までと幅広く、身体障がいの方にも参加していただいた。スタッフは教員4名、大学生30名で対応した。参加者にワークショップについてのアンケートを行った(図3)。
(1)今日はどこから きましたか? |
神戸市:中央区(4)・西区(2)・東灘区・垂水区 | 兵庫県内:尼崎市 | 他府県:大阪 | ||
---|---|---|---|---|---|
9 | 1 | 1 | |||
(2)誰と一緒に きましたか? |
家族 | 友達 | 一人で | ||
8 | 2 | 1 | |||
(3)ワークショップの 内容はどうでしたか? |
上手くいった | まあまあできた | 普通 | まあまあ難しかった | 難しい |
9 | 2 | 0 | 0 | 0 | |
(4)スタッフはわかりやすく 教えてくれましたか? |
とてもよかった | まあまあよかった | 普通 | ややよくなかった | よくなかった |
10 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
(5)自分の作った帽子を 気に入っていますか? |
とてもよかった | まあまあよかった | 普通 | ややよくなかった | よくなかった |
10 | 1 | 0 | 0 | 0 |
図3 ワークショップ参加者のアンケート結果
参加者の感想として、
● 最初はどうなるかと思ったが、スタッフの指導により楽しく帽子が作れた。
● 障がい者になってから初めて縫って制作できたので嬉しかった。
● 学生さんがとても親切で楽しく参加させてもらった。
など、楽しんで制作できたようだった。