5.エコロジカル・ネットワークの構想-提案

図18 -建築デザインのルールの適用

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図18 -建築デザインのルールの適用


図19 -6住宅の名称及び配置

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図19 -6住宅の名称及び配置

5-3-2 建築デザイン―ルール設定と住宅の提案―
ライフスタイルを与件とする一方で、エコロジカルな住宅地の形成を目指し、それを持続していくためには、建築のデザインを進める際の最低限のルールも必要である。

[フットプリントを最小限に留める]
谷側の敷地に計画する住宅は、敷地表面積に対する建築の割合を最小限にとどめ、建築が生態系に及ぼす影響に配慮する。

[地形を温存する]
地形のもつ特徴を読み取り、傾斜地にあった住宅のデザインにすることで、造成段階での負荷を最小限に留める。

上記2点は、建物配置等の決定を、敷地及び周辺の土地形状を考慮して行うことを意味し、計画、設計において基本的に尊重すべきものと考える。
さらに、筆者らがケーススタディとして選択した6つの敷地においては、敷地の条件から、エコロジカルに住まうための仕組みとして、次に挙げる6つの建築デザイン上のルールを設定した。この提案は、当該地において、敷地内の自然環境を共有し、快適な住環境を追求するための工夫であり、ひいてはエコロジカル・デザインの多様性をさらに豊かなものにしていくと考えられる。
以下に、筆者らが設定した建築デザイン上の6つのルールを記し、そのルールの6敷地への適用を「図18」に示す。

[既存樹木を活かす]
残存樹林や造成緑地における植栽樹木等、入居時に見られる樹木に配慮した配置計画をし、できるだけ多くの樹木を残す。さらに既存樹林と住宅との様々な関係性(視覚的に楽しむ、樹木を通して冷風を得る、など)を生み出す工夫をする。

[緩衝空間を共有する]
住宅地内の主要道路から5m以上セットバックして住宅を計画し、連続した豊かな緩衝空間をつくる。

[道路から森への視線を通す]
敷地の形状に合わせた細長い住宅とし、道路から奥の森(100年の森、住まいの森)への視線を通す。また、住宅を隣地境界線に接近させ、より広範囲に視線を通すように配慮する。

[屋外デッキを設ける]
各住宅には内と外を繋ぐ役割として、屋外デッキを設け、多くの出会いを生む場として計画する。

[プライバシーの確保]
隣接する住戸同士は、主要な居室の位置に配慮し、互いに隣り合わないよう計画する。

[敷地内の小道を共有する]
谷側の敷地内を横断する既存の小道や「住まいの森」の小道を共有空間として確保し、各住戸において小道との関係性をデザインする。谷側の敷地においては、小道より山側、谷側、谷側の小道を跨ぐ、の3タイプの配置を提案し、住戸内プランにおいても、小道との関わり方をデザインする。山側の敷地も小道への動線や視覚的つながりに配慮する。

これらのルールを基に、前節までに述べた「コリドー」の提案、コリドーの「管理型」から設定したライフスタイル、そして筆者らが任意に想定した家族構成から、6つの住宅案を検討した(図19)。この住宅案の詳細について、樹林管理タイプ別に紹介する(図20~図25)。


[放置型 ; 残存樹林や植栽木をそのままに放置]


図20 -大きな窓の家

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図20 -大きな窓の家

図21 -風の通る家

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図21 -風の通る家



[維持型 ; 特定の樹種や個体を選択的に保存]


図22 -陽だまりの家

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図22 -陽だまりの家

図23 -畑のある家

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図23 -畑のある家



[更新型 ; 樹種、個体ともに意図的に更新]


図24 -森の中の家

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図24 -森の中の家

図25 -芝屋根の家

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図25 -芝屋根の家




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