複雑多岐に渡る屋外照明において各調査地区全域の物理量をすべて計測することは不可能である。よって本研究方法は、基礎調査をもとに各地区の景観の特徴となる照明空間を選定し、照度・色温度・輝度の測定を行った。選定された照明空間は、すなわち各地区における物理量の測定現場であり、続いて行われる被験者による空間イメージを測定する心理的実験空間でもある。
2-1 照明空間の選定
調査対象5地区の夜間景観の選定は、基礎調査を行った各地区の写真撮影と同時に調査地区の地図上に屋外照明の配置・特徴を記録した。なお、調査空間が広範囲に渡るために、調査は各地区において2~3回繰り返し行った。さらに、研究対象となる調査地区を紹介している著書、文献などを参考にして、各地区における夜間景観の特徴となる照明空間の絞り込みを行った。
図2から、選定された夜間景観は、北野町(A・B・C・D)の4カ所、三宮駅北側(A・B・C・D・E)の5カ所、南京町(A・B・C)の3カ所、旧居留地(A・B・C・D・E・F)の6カ所、メリケンパーク(A・B・C)の3カ所、合計21カ所とした。
2-2 調査地区の照度・色温度・輝度の測定方法
選定された各地区の夜間景観に出向き物理量の測定を行った。測定地点に入射する光束を、照度計(ミノルタ デジタル照度計T-1H)を用いて水平面照度および鉛直面照度を計測した。水平面照度の計測には、測定地点の路上から約850mmの水平面を目安としてランダムに入射する光束を3~5カ所の計測を行った。また、鉛直面照度の計測には、測定地点の路上から約1500mmの地上高の範囲で夜間景観から入射する光をランダムに3~5カ所の計測を行った。
図3は、各地区の測定した地点から視対象となる夜間景観をデジタル一眼レフカメラにより撮影した画像である。輝度および色温度の測定は、色彩色差計(ミノルタ色彩色差計CS-100および、データプロセッサーDP-101)を用いて視対象となる夜間景観に対して輝度分布、色温度の計測を行った。夜間景観の輝度分布、色温度の測定対象部分には、撮影した画像に番号をプロットして示した。