3-1 調査の目的
山西省には王家大院のほかにも、いわゆる山西商人によって築かれた「大院」と呼ばれる民家の邸宅群がいくつも存在する。また、世界文化遺産に登録されている平遥にも、古い住宅群が伝えられている。これらの大院を個別に解説した資料は散見されるのだが、横断的・分析的に扱って個々の位置づけを論じた先行研究は見当たらない。しかしながら、王家大院の特徴や、文化的価値を測ろうとするとき、これらの大院のなかにおける王家大院の建築構成及び建築装飾の位置づけを考察することは不可欠であろう。こうした観点に立ち、ここでは山西省の代表的な商家の邸宅群について、現地調査を行うことにした。
3-2 調査日程
調査は2007年3月15日~同19日に実施した。詳細は以下の通り。
- 3月15日 朝:
- 関西空港を出発。北京空港経由で太原空港へ。太原からは手配したバスで移動。夜、平遥古城(平遥県)着。(平遥泊)
- 16日 午前:
- 平遥古城内の集落を調査。
- 午後:
- 鎮国寺(平遥県)を視察。渠家大院(祁県)を調査。(平遥泊)
- 17日 午前:
- 曹家大院(太谷県)を調査。
- 午後:
- 喬家大院(祁県)の調査。(太原泊)
- 18日 午前:
- 晋祠(太原市)を視察。
- 午後:
- 常家大院(楡次市)を調査。(太原泊)
- 19日 早朝:
- 太原を出発。北京空港経由で関西空港へ。夕刻に帰国。
3-3 調査組織
本調査の参加メンバーとその役割分担は、以下の通りである。
山之内 誠(環境・建築デザイン学科 助教授)調査の企画・実施、とりまとめ(研究代表)
齊木 崇人(環境・建築デザイン学科 教授)調査の実施(共同研究者)
柳沢 究(芸術工学専攻 助手)調査の実施(共同研究者)
黄 國賓(芸術工学専攻 非常勤講師)調査の実施、通訳(研究協力者)
王 曄(大学院生)調査の準備・実施、通訳(研究協力者)