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図1-2-1 みついけ役員会(写真:宮代、2007)

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図1-2-1 みついけ役員会(写真:宮代、2007)


図1-2-2 建築・緑地協定の事前申請チェックシート

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図1-2-2 建築・緑地協定の事前申請チェックシート


図1-2-3 みついけ「協定運営委員会」「地中化運営委員会」第2回総会(写真:宮代、2008)

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図1-2-3 みついけ「協定運営委員会」「地中化運営委員会」第2回総会(写真:宮代、2008)


図1-2-4 デザインガイダンス

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図1-2-4 デザインガイダンス


図1-2-5 みついけ懇親会の風景(写真:宮代、2007)

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図1-2-5 みついけ懇親会の風景(写真:宮代、2007)


図1-2-6 親睦餅つき会の風景(写真:宮代、2008)

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図1-2-6 親睦餅つき会の風景(写真:宮代、2008)


図1-2-7 自治会規約の前文を検討(作成:齊木研究室、2008)

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図1-2-7 自治会規約の前文を検討(作成:齊木研究室、2008)


図1-2-8 自治会設立後の自治会と協定運営委員会の位置づけ

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図1-2-8 自治会設立後の自治会と協定運営委員会の位置づけ

1-2 みついけのエリアマネジメントの実践

1-2-1 「みついけ役員会」の活動

(1)「みついけ役員会」(「協定運営委員会」「地中化運営委員会」役員)の結成

コミュニティデザインの一環として、入居予定者決定から宅地引き渡しまでの約1年間行われた「みついけコミュニティワークショップ」の、第6回目(2006年1月)において、みついけのエリアマネジメントを担う「みついけ役員会」のメンバーが確定した。また、みついけの68世帯は、「向こう三軒両隣」を基礎単位とした、a~gの7つのコミュニティによって構成されているが、役員は、各コミュニティから1名づつ計7名選出された。役員は、まちづくりのルール(建築・緑地協定、ガイドライン)を運用する「協定運営委員会」と、電柱が地中化埋設された時に、管理を行うにあたって組織化が義務付けられている「地中化運営委員会」の役割を兼務している。(図1-2-1)

(2)協定運営委員会

役員会は定期的に会合を開き、都市再生機構や神戸芸術工科大学のサポートを受けながら、各住民から提出される「建築・緑地協定」「ガイドライン」の事前申請の審査、協定及びガイドラインの運用細則の作成、住民総会の準備・開催等を行っている。ガイドラインは、建築・緑地協定を確定する際に、全員合意に至らなかったため、建築・緑地協定の項目とはならなかったもののうち、2/3以上の合意を得た項目によって構成されている。

協定の事前申請の審査では、協定運営委員会に申請された案件に対し、役員がチェックシートを用いて、建築・緑地協定との整合性を審査している。ガイドラインをクリアしていないものについては、該当箇所を指摘し、書面を添付して申請者に回答している。(図1-2-2)

なお、2008年5月時点では54件の事前申請の審査が終了していたが、そのうちのガイドラインの遵守状況は、「隣地境界から建物を2mセットバックする」が26件、「全面道路から平坦地の20%をオープンスペースとする」が48件、それぞれ遵守していた。

また、運用細則の作成においては、「ガイドライン」を「守るべきもの」か「単なる目標値とする」が議論の対象となった。これを契機に、ルール(建築・緑地協定、ガイドライン)を分かりやすく説明する「デザインガイダンス(ルールブック)」の必要性が指摘されるようになった。

(3)「協定運営委員会」「地中化運営委員会」第2回通常総会(2008年5月25日)

2008年5月25日、「舞多聞まちづくり館」にて、「協定運営委員会」「地中化運営委員会」の第2回通常総会が行われた。(図1-2-3)

当日は、「平成19年度の収支決算および事業報告」「平成20年度収支決算および事業計画」「役員の選出」を行ったのち、「平成19年度エリアマネジメント推進調査」(後述)の実施内容が報告された。

1-2-2 国土交通省「平成19年度エリアマネジメント推進調査」

2007年5月、みついけプロジェクトは、国土交通省 土地・水資源局 土地政策課による「平成19年度エリアマネジメント推進調査」の対象地6地域の一つに選ばれた。

平成19年度の募集では、みついけ以外に、秋田市「新屋商店会」、東京都「NPO多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議」、大阪府「有限責任中間法人コミュニティ彩都」、大阪府「北大江地区まちづくり実行委員会」、福岡県「次世代システム研究会・ストック型街区研究部会」が対象地に選ばれた。

この中で、みついけは、住まう前の「コミュニティワークショップ」を通じた、住民自らの意思によるルールづくり(建築・緑地協定、ガイドライン)や、組織づくり(役員会)、ルールの運用(協定運営委員会)といった、それまでの実践と、ルールの修正やデザインガイダンス作成、自治会設立準備、「まちづくり」「コミュニティづくり」のイベント開催といった「エリアマネジメント」の実施計画の内容が評価された。

1-2-3 デザインガイダンス作成

みついけは、「曲線を描く道路に沿った宅地割り」「スロープを持った宅地」「宅内斜面緑地」「セットバックにおける歩道の提供」「住まう前のルールづくり」など、既存の住宅地にはない固有性を持っている。

また、ガイドラインの「全面道路から平坦地の20%をオープンスペースとする」「隣地境界から建物を2mセットバックする」といった項目も、具体的な前例が無いために、住民がその効果を理解することも困難であった。実際に、「20%」「2m」といった数字は「非現実的」「過剰」と指摘する住民も少なくなかった。

そこで、役員会では、「ガイドライン」を「単なる目標値」ではなく、「可能な限り守るべきもの」というスタンスに立ち、「建築・緑地協定」も含め、それらの内容を視覚化した「デザインガイダンス」の作成を決議した。

デザインガイダンスは、実際にみついけで建てられた住まいの中で、「みついけを価値化する」事例を紹介しながら「建築・緑地協定、ガイドライン」を解説している。また、みついけが目指すまちの姿を表現したイラストも挿入している。(図1-2-4)

1-2-4 「まちづくり」「コミュニティづくり」のイベント開催

(1)みついけ懇親会(2007年9月22日)

みついけ役員会主催による、住民間の交流を目的とした会。85名参加。今後の活動内容のためのアンケートを実施。「自然環境」「社会環境」「人的環境」について大事だと思うことの質問、その他のまちづくりやコミュニティづくりのアイデア、懇親会の感想を尋ねた。

「自然環境」では、「緑地の管理」「公園の維持管理」、「社会環境」では、「自治会の組織化」「資源ごみの回収」、「人的環境」では、「ご近所同士の交流」、が上位を占めた。

また、当日は、運営委員会委員長により、サークルづくりの声掛けがなされ、後日ゴルフサークルが結成された。その他のサークル活動の活性化が課題となっている。(図1-2-5)

(2)「親睦餅つき会」(2008年1月20日)

みついけ役員会主催による住民間の交流を目的とした会。70名参加。

「住民間の交流」というステージをクリアし、現在はそこから一歩進んだ、「意見交換の場」の提供が求められている。硬軟のバランスのとれた「意見交換の場」をいかにして提供するか、が新しい自治会の課題となっている。(図1-2-6)

1-2-5 自治会設立に向けて(自治会設立準備委員会)

宅地引き渡しから1年が過ぎ、「住まいづくり」という「建築・緑地協定」や「ガイドライン」の運用がピークを迎え、実際に住まう人が増えはじめると、ゴミの回収や近隣商業施設の騒音、住民同士の交流といった、暮らしや親睦に関する課題が主となりはじめた。これを契機に自治会設立の機運が高まり、2007年5月の「協定運営委員会」「地中化運営委員会」の第1回通常総会で自治会設立準備開始が決定した。この時点では、役員会が運営委員会として、暮らしや親睦に関する課題に取り組んできたが、自治会設立後は、運営委員会は、協定の運営に専念し、役割を明確化することとした。

まず、運営委員会役員が中心となって、2007年10月に「自治会設立準備委員会」を設立した。役員7名の他、住民有志6名が加わった。準備委員会では、2週間~1か月に一度の割合で会合を行い、趣意書や規約案の作成、運営体制の検討などを行った。その中で、既存の自治会の定義にこだわらない組織を目指し、団体名を「舞多聞みついけコミュニティ」とすることが決定した。(図1-2-7、1-2-8)

1-2-6 自治会(舞多聞みついけコミュニティ)設立総会(2008年5月25日)

2008年3月、自治会設立準備委員会は、設立趣意書と自治会規約を確定した。規約の前文には、自治会設立の趣旨と、目指すまちやコミュニティの姿を明文化した。その後、2008年5月25日(「協定運営委員会」「地中化運営委員会」第2回通常総会と同日)に、自治会設立総会を開催し、住民の合意を得て、自治会「舞多聞みついけコミュニティ」が設立された。

なお、「協定運営委員会」「地中化運営委員会」は強制加入であるが、自治会は任意加入である。しかし、みついけでは、「地域の課題に対応した、住民や土地所有者による地域の維持・管理」というエリアマネジメントの観点から、全世帯加入を目指している。2008年6月現在、68世帯中50世帯が加入、2世帯が加入予定となっている。


 

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