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1 作品例~まねきねこ柄のゆかた~*1*1

インクジェットプリントの弱点として、布上に試みた場合、染まりが浅く色に深みがないことがある。インクジェットによる浴衣制作は前回の報告*2にもある。今回は一般的な手法ではないが、実験的な試みとして、絞り染めとの併用を考えた。モチーフとして昭和時代のミニチュア玩具を使用。浴衣としての軽やかさや、可愛らしさを強調して「招き猫」を選んだ。(写真2)16mmという小ささから来る「たどたどしい」表情に、時代や浴衣との相性があると考えた。

モチーフを接写撮影する場合に注意することは背景のカラーである。以前からの経験で、背景色を決めてから撮影しないと、写真を背景に合成した時に違和感が生じる。背景としての地色は少しエメラルドがかった鮮やかな「水色」と決めたのは、猫の白とオレンジが映えるためである。プリントサイズの猫のシルエット型に合板を4枚切り抜き、浴衣地を屏風たたみして板を挟み、レンチで強く絞める。(写真3)

反応性染料で、ムラがでぬように良く撹拌しながら生地色を染めた。板締め絞りの特徴で、際の部分がシャープにならず自然なボカシの味が生まれる。(写真4)そして、白く染め残されたシルエットに背景を切り抜いた「まねき猫」の写真データをプリントしてゆく。(写真5)浴衣のデザインであるので、リピート柄だが大胆な配置を試みている。(写真1)。

写真1 浴衣“猫まねき猫”

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写真1 浴衣“猫まねき猫”

写真2 ミニ招き猫の接写写真

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写真2 ミニ招き猫の接写写真


写真3 布地を板で強く挟む

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写真3 布地を板で強く挟む

写真4 絞り染めした生地

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写真4 絞り染めした生地

写真5 布専用プリンター

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写真5 布専用プリンター


    

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通崎睦美がプロデュースする浴衣ブランド“メテユンデ”で2008年の新作浴衣。試作品を『通崎好み制作所展』(2008年5月28日~6月9日、京都)で発表した。(浴衣・帯制作:戸矢崎満男、撮影:平野愛)
大学紀要「芸術工学2008」の『デジタル画像を用いたテキスタイルプリントの可能性』(*1)で報告。