2|「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクトの概要

これまでの宅地供給の仕組みは、まず土地が選択されるが、その土地の形状は均質に分割された狭小なものが多い。しかし2003年春に行った「新・田園都市居住希望者」へのアンケートの結果によると、回答者の多くは、現在居住している土地の約2倍の150坪程度の宅地を求め、よりゆとりのある居住環境における多世代居住を希望していることが分かった。
これからのまちづくりでは今まで期待できなかった多世代居住による「質の高い居住環境づくり」を、伝統的な環境観を生かし、また土地と建物を一体的に考えることによって、初めて実現へと導くことができる。
舞多聞倶楽部へ参加している団塊の世代層は、子供たちが独立を始め、時間のゆとりとより質の高い環境を求める意向が強く、今まで住んで来た住環境を何らかの方法で改善或いは住み替えたいと考えている。自らの経験には戦後の地域コミュニティの助け合いのイメージや、荒廃しつつある今日の環境への疑問を共有している。
そして、これからのまちづくりでは団塊の世代の経済力と、団塊ジュニアの世代の若いエネルギーとの連携が求められる。そして彼らが中心となって前後の世代を繋ぎ、それぞれが互いにやわらかく順応し合う力を磨いて行かなくてはならない。「新・田園都市」を目指した、「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクトはその実験の場である。

謝辞
「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクトが独立行政法人 都市再生機構西日本支社と業務担当者の方々、そして舞多聞倶楽部会員の皆さん(会員数約1640名、2005年7月現在)の多大なる理解と協力の下に進められてきたことをここに記します。
また、レッチワース財団理事長のスチュアート・ケニー氏、ライデン大学副学長及びウェストミンスター大学副学長のマウリッツ・ヴァン・ロイヤン氏、オックスフォード・ブルックス大学教授のステファン・ウォード氏からの、本プロジェクトに対する助言や激励に対しても、この場を借りて感謝の意を述べたいと思います。
[主要参考文献]
財団法人 住宅生産振興財団:家とまちなみ45、2002
蓑原敬:成熟のための都市再生 人口減少時代の街づくり、学芸出版社、2003
都市住宅学会編:データで読みとく都市居住の未来、学芸出版社、2005
齊木崇人、ロバート・フリーストーン、マウリッツ・ヴァン・ロイヤン編:New Garden City of the 21st Century?、神戸芸術工科大学、2002
神戸芸術工科大学編:環境デザインへの招待、2004
齊木崇人:21世紀における郊外居住のまちづくりと住まいづくりの再生目標、住宅 平成16年6月号、社団法人 日本住宅協会、2004
齊木崇人:新しい郊外居住のかたち 神戸 ガーデンシティ「舞多聞」みついけプロジェクトの取り組み、住まいと電化 2005年4月号、日本工業出版、2005
齊木崇人:少子高齢化社会におけるまちづくりの提案、区画整理 2005年3月号、社団法人 日本土地区画整理協会、2005
齊木崇人他:新・田園都市の実験ー神戸「ガーデンシティ舞多聞」みついけプロジェクト、神戸芸術工科大学紀要「芸術工学2004」、神戸芸術工科大学、2005
石田頼房:日本現代都市計画の展開、自治体研究社、2004

[研究協力者]
二位貴子、藤澤康子

石井清巳、 平野奈々、 安井沙永子、 橋本大樹、 山形晃大
久池井裕介、 柳川翔太、 青木沙麻里、 田中麻弥、 綱渕聡美


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