3-1 ワークショップ実施概要
eapから生まれたプロジェクトのひとつ「ちびたん」プロジェクトの結成1年目と2年目は、子供と親が描いた絵を学生たちがアレンジする手法で、運動会で着る子供のTシャツを制作した。その活動がとても好評だったため、結成3年目の2008年に「親子でおそろい手づくり服を楽しもう!」が実現した。
本プロジェクトは、2008年8月6日・20日・25日の3日間、神戸市立明親小学校で、神戸市地域子育て支援センター兵庫、ボランティア保育士の方々の協力を得て実施された。母親は我が子のために手間をかけて服を作る喜びを味わい、子供は世界にたったひとつの手作り服で親からの愛情を確かめ、おそろいの手作り服を通して親子のコミュ二ケーションを図ることを目的に企画された。(写真7)
参加者は0~4才児を持つ親子20名、学生メンバーはファッションデザイン学科3年生3名、2年生19名の計22名であった。制作時間は1回90分のワークショップを3回行った。所要時間4時間半で2着を制作するため、デザインは簡単に誰でも作れる「エプロンワンピース」をベースに検討した。制作物は、女の子とお母さんはエプロンドレスで、裁断して残った生地を利用しそれぞれデザインアレンジを加えた。男の子には短いパンツを作り、パンツの裁断で残った生地を利用し、Tシャツにデザインアレンジをして完成させた。(写真8、9)制作指導は、母親ひとりに対し学生が2名ずつサポートにつき、ミシンの使い方から服の制作手順、デザインアレンジのアドバイスなども行った。
また、母親と子供が一緒に参加するワークショップのため、制作場所の隣では保育場を設け、母親たちが安心して服作りに専念できるよう配慮した。母親は制作途中にサイズ合わせの確認が出来る(写真10)、子供たちは母親が自分の服作りをしている姿を見ながら安心して遊ぶ事が出来る、という二つの大きなメリットが実現でき、学生たちも子供の保育に参加することで、子供たちとの触れ合いを楽しめたようだった。(写真11)
3-2 ワークショップの成果
最終日は出来あがった服を見て、参加者も学生も満足した様子だった。(写真12、13)アンケート調査からは、学生たちの親切な指導が良かった、自分の子供も将来は彼らのようになって欲しいとの意見をいただいた。また、学生たちからは、指導する立場になることで自信がついた、完成した服を見て喜んでくれて感動した、などの声があげられた。本プロジェクトを通して、当初の目的であった親子のコミュニケーション以外にも、学生や教員、ボランティアの方々とのコミュニケーションがはかれたこと、そしてeapの学生たちのデザイン力・指導力が向上したことが大きな成果だった。