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まとめ

本学における英語教育の現状と課題(の一部)を概観した本稿であるが、本学における英語、あるいは語学教育における究極の命題は、「大学の性格上、英語(語学)教育が最優先事項となることを期待することが困難な環境下において、『どこまでやるべきか、できるか』」ということに尽きる。

目標として、(英語での)あいさつや旅行(英)会話ができれば、あるいは英検やTOEIC(他言語の検定試験も同様)のスコアが向上すればそれでいいのかは、語学教育方針の根幹に関わる問題である。

「コミュニカティブ(会話重視の)・アプローチ」も必要であるが、使用言語を問わず『情報(文章)を正しくインプットする』訓練の一環として、いわゆる『訳読』型の教育手法を軽視してはならない」というのが筆者の意見である。学生が「世に役立つ」機会を勝ち取るためのサポート等は更に充実させる必要があろうが、「TOEIC依存症」に陥って基礎をないがしろにすることのないよう注意を払う必要がある。

一方、情報・意見を的確に、インプットし、内容や文脈を正しく理解し、また説得力を持ってアウトプットする力をつける、そのために何をなすべきか、また英語(語学)教育はその中でどのような位置を占め、何ができるのか、という命題は、「英語(語学)以前の問題」として全学での継続的な議論と意識の共有が必要であろう。

更なる充実の道を模索する本学英語教育であるが、投稿締切時点では学科改組後の新カリキュラムは未確定である。次の機会には、2010年度に運用開始する新カリキュラムについて、そのねらい等を考察してみたい。将来的には、実際に新カリキュラムを運用してみての学生の反応や、更に改善を必要とする課題などにつき、引き続き報告と議論を続けていきたいと考えている。

本稿並びに今後の展開に引き続きご意見を賜れれば幸いである。


 

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