3.ポール・ポワレの衣服デザインの構造

3-2 キモノ・コート

作品名: キモノ・コート Manteau Kimono(レヴェロン REVEREND)
リファレンスNO.: 1963.30.3
グリフ: Paul Poiret 5 rue Auber. Paris
制作年: 1905年
素材: ラシャ
色: ボルドー
デザイン:(図1)

図-1 トワール

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図-1 トワール

幅広の打ち合わせを持ち、ほぼ四角形の形をした袖無しのマント型のコート*1。表地と同素材で作られた中国風のメダルがアプリケされている。衿は黒のサテン地に中国風刺繍が入ったラウンドカラー。前後の肩線は、腕を通す「あき」になっており、メダルのアプリケで留められている。アプリケの上下から腕を出し、二通りの異なる着方が可能である。
構造:(図2) 身頃は、後ろ中心線ab、前中心線cdに緯地を通し、水平方向に経地を通し、後ろ中心線は「わ裁ち」。脇線efに切り替えを入れず前後一枚の大きな長方形でできた構造。前後の肩線ge、heは縫い合わせずに突き合わせ。後ろ衿ぐりにタック。上衿は4枚構成。地衿は月腰の切り替えが付いた2枚構成。

構造:(図2)

図-2 パターン

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図-2 パターン

身頃は、後ろ中心線ab、前中心線cdに緯地を通し、水平方向に経地を通し、後ろ中心線は「わ裁ち」。脇線efに切り替えを入れず前後一枚の大きな長方形でできた構造。前後の肩線ge、heは縫い合わせずに突き合わせ。後ろ衿ぐりにタック。上衿は4枚構成。地衿は月腰の切り替えが付いた2枚構成。

*1― このキモノ・コートは、ポワレの自伝「時代を纏って」の中に、ウォルト店で「新作のマントを王女に見ていただいた。それは今日では平凡に見えるか、あるいはほとんど時代遅れに見えるかもしれないが、まだ当時は、このようなものは誰も見たことがなかった。それは、黒いサテンのバイアスで縁取られた、黒いラシャでできた四角い大きなキモノであった。袖は広く、下まで垂れ、中国のマントの袖のように、端には刺繍の折り返しがついていた」と書き記しているものと相似している。王女から「ぞっとするわ!」と嫌悪を露わに示され、ポワレは絶望することになるが、このタイプのコートは独立してからも好んで作っており、後に「CONFUCIUS(孔子)」と呼ばれるポワレの代表的作品になる。



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