3.ポール・ポワレの衣服デザインの構造

3-6 ドレープ・コート

作品名: ドレープ・コート(Manteau drapé)
リファレンスNO.: No. 1986.105.1
グリフ: なし
制作年: 1914年
素材: シルク・トワール
色: ブルーの地にモーヴ色のにじみ模様
デザイン:(図13)

図-13 トワール

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図-13 トワール

肩が広く裾が狭くなったコクーン型のコート。前身には広い打ち合わせがあり、前身の切り替えの間から腕を出すスリットあきがある。前後1枚仕立ての極めて平面的なコート。

構造:(図14)

図-14 パターン

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図-14 パターン

肩線と脇線に切り替えを入れないパターンは広げると1枚の半円のような形になる。半円の布の斜線部分を切り取り、肩線abと脇線bcで折り、重なった部分adとa'd'を縫い合わせ、付き合わせになるbdとb'd'を袖口あきとして腕を通すという「折り紙」の様な構造である。また、深さのない後ろ衿ぐりは着用すると後ろ身に引かれ、自然に「抜き衣紋」が形成され、裾に向かって下りて腰あたりでたまった布がドレープを作る。このように身体に沿って自然にシルエットが形成される様は、構築的な西欧の衣服においてはなかったものである。
備考: ポワレ展カタログの写真では毛皮の衿が付いたコートとして紹介されているが、調査は本体のみを行った。この「抜き衣紋」によって現れるシルエットは、これまで室内のガウンとして着用されていた着物の特徴的な表情であり、ポワレはそれを外着のコートとして用いている。

 



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