3.ポール・ポワレの衣服デザインの構造

3-3 アフタヌーン・ドレス

作品名: アフタヌーン・ドレス Robe d'après -midi
リファレンスNO.: 1986.1.31
グリフ: なし
制作年: 1908年
素材: グレナディンヌ(注1)
色: ブルー

デザイン:(図3)

図-3 トワール

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図-3 トワール

ハイウエストに紐通し(クーリス)を入れ身頃とスカートが一続きになった直線的シルエットのディレクトワール・スタイルのドレス(注2)赤と黄のサテン地の花総飾りの刺繍と、裾、衿ぐり、袖口に赤のサテンの縁飾りが唯一の装飾である。後ろ中心あき。ボートネック、キモノ袖。

構造:(図4)

図-4 パターン

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図-4 パターン

ハイウエストab、cdに切り替えを入れずに身頃とスカートが一続きになったディレクトワール・スタイルのドレス。身頃続きのキモノ袖の肩線efに緯地を通して水平に取り、前後1枚仕立ての構造は切り替えを極力入れずに、1枚のパーツで取るポワレのカッティングの特徴を示している。肩線を水平に取り、身体の本来の肩の傾斜に沿わない平面的なカッティングは、身体の形に合わせて身体を型取りする西洋の衣服の伝統的なカッティングとは大きく異なり、キモノ風のゆったり身体にフィットする身体感が現われている。
備考: ポワレ展のカタログでは、アンダードレスを着用した二重のドレスであるが、調査したものは一重のドレスのみであった。

 

*1― グレナディンヌ:grenadine 強いよりをほどこした諸撚糸(もろより糸)の先染め糸を用いた絹の織物。
*2― ディレクトワール・スタイル:18世紀末、フランス革命の後の総裁政府時代(le Directoire)1795-1999年、女性のファッションに現れた古代ギリシャ・ローマ風の自然な身体美を求めたシューズ・ドレス。高い位置のウエストと長いストレートのシルエットが特徴。



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